羊水過多・過少と羊水の役割
胎児の尿量は妊娠20週で5ml/時、32週で22ml/時、40週では51ml/時と増加し
胎児の嚥下量も妊娠16週の7ml/日から予定日ころには760ml/日へ増加する
羊水の循環はきわめて迅速で2.9時間ですべてが入れ替わるといわれています。
羊水量は妊娠8週目ころから序所に増加し、妊娠34週前後で最大になり38週以降は減少していきます。
・羊水の成分
羊水は
総たんぱく質 アルブミン αグロブリン βグロブリン rクロブリン
非淡白窒素化合物 尿素 尿酸 クレアチニン
糖質 グルコース フルクトース 乳酸 ピルビン酸
総脂質 脂肪酸 コレステロール リン脂質
無機質 Na K Cl Ca Mg P Fe Cu Zn
呼吸ガス及びH+ pH Po2 Pco2
羊水中には抗菌作用を持つ補体因子C3などが含まれていて生体防御機構に関与している
・羊水の役割
胎児の運動をスムーズにする
外的衝撃から胎児を守るクッション
胎児の肺成熟を促進
胎児の体温保持
分娩時の子宮頚管拡張
・羊水過多と過少
日本では妊娠時期を問わず羊水が00mlを越えると判断される場合は羊水過多とされる
自覚症状がある場合は羊水過多症をしていますが、アメリカでは2000ml 以上を羊水過多としているため
どちらが正しい定義なのか?不明です。
臨床的に23~25週ころに数週間で急激に増量するものと妊娠後半で緩やかに増加する慢性羊水過多症とおおざっぱにわけられるば大部分は慢性的な経過を取ることが多い
羊水過多の診断は専門医が測定法を用いて検査をする
羊水過多で可能性のある疾患
切迫早流産・胎盤早期剥離・前期破水・分娩時の臍帯脱出や弛緩出血の量が増える
羊水過多の主な原因
・母体因子
糖尿病 血液型不適合
・胎盤因子
胎盤血管腫
胎児因子
多尿によるもの 多胎-双胎間輸血症候群
腎内分泌疾患
嚥下障害 中枢神経系異常-無脳児、水頭症
筋骨格系異常-先天性筋緊張性ジストロフィー、筋無力症、致死性小人症、小顎症
染色体異常 トリソミー13・18・21 (クワトロ・NIPTで検査が可能)
消化官通過障害 消化管閉鎖-食道閉鎖、十二指腸狭窄、輪状膵
胸郭・縦隔腫瘍-横隔膜ヘルニア、CCAM
心不全 心疾患
胎児水腫-免疫症・非免疫症
仙骨奇形腫
髄液・奨液の漏出 中枢神経系奇形-無脳児、脊髄髄膜瘤,脊椎破裂
腹壁の異常-.腹壁破裂、臍帯ヘルニア
先天性感染症 TORCH症候群
・羊水過少の原因
胎児尿生産減少 胎児奇形-腎無形成、腎低形成、嚢胞性腎疾患、閉塞性尿路疾患
胎児機能不全・腎血流量の低下-子宮内発育障害、過期妊娠
羊水の慢性流出 破水
羊水過少が持続すると
胎児の胸郭低形成・肺低形成あるいは運動抑制・発育障害による四肢の拘縮や四肢欠損が起こりやすくなる